恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
引きつった笑いを浮かべる私達を全く気にもせず、お兄さんは教会の扉に向かって歩き出す。

そして出ようとする直前、もう一度私達を振り返って笑顔でこう言った。



「お邪魔して悪かったね。
これからも末永く、お幸せに」



結婚した二人に言うような言葉を掛けられて、私と武藤くんは顔を見合わせて笑った。

本当に邪魔されてファーストキスは逃してしまったわけだけど…



「行きましょうか、先輩」



そう言ってギュッと握られた武藤くんの手の温かさに、本当に想いが通じたんだと実感が沸いて来る。



「この手、絶対離しませんから」


「……ありがとう」



私もギュッと握り返して、嬉しさでまた込み上げてくる涙を堪えながら笑顔を見せた。




……そんな私が、大沢兄弟が実は双子で、このママ高を管轄する大沢グループの御曹司だと知ったのはこの直後だったという……。







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