恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
「笑ってないでさっさと野菜切るの手伝え。この人数で食ってたらすぐ終わっちまうんだから」


「はいっ」



先輩に促されて私は一緒に野菜を切り始めた。


でもこうして先輩と二人でキッチンに立ってるなんて、なんだか不思議な気分。

お姉さん達が『心花ちゃんもお嫁さんに』なんて言うから、ちょっとだけ意識しちゃうし……。



──でも、私が誰と一緒にいたいかって考えると、頭の中には決まって彼の姿が思い浮かぶ。


大人びた、優しい男の子の姿が。




「なぁ、梅津はまだアレ作ってんのか?」


「『アレ』??」


「芋ようかん」



……私は長ねぎを切ろうとしたところでピタリと動きを止めた。


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