溺愛カンケイ!
恐怖の足音と救いの手

「課長、何か食べますかぁ?」

「課長は今日、お酒飲まないんですかぁ?」

私の耳に甘ったるい声が聞こえてきた。

背中越しなので課長達の様子が分からない。
何故かイライラして残ってたカシスオレンジをゴクリと飲んだ。


空いたグラスを眺める。ヤバい、調子に乗ってお酒を三杯も飲んじゃった。


「田中~、ちょっといいか?」

喫煙ルームから戻ってきた部長が主任を呼ぶ。

「何ですか、部長。呼ばれてるからちょっと行ってくるね、花音ちゃん」


主任は部長のテーブルに向かった。


「あの、加藤さん。私、ちょっとお手洗いに行ってきます」

「了解、いってらっしゃい」


ヒラヒラと手を振られ、私は席を立ちレストルームへ向かった。


鏡にうつる自分の顔を見ると全体的に赤みを帯びている。
もうこれ以上は飲まないようにしよう。

手を洗いドアを開けると通路に私を睨みつけてる数人の女子社員がいた。
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