溺愛カンケイ!

一人の女の人が近付いてきた。

「あんたさぁ、生意気なんだよね。最近来たばかりのクセに田中主任を独り占めすんなよ」

「いったい、どんな手を使って誘惑したんだよ」

ジワリジワリと詰め寄ってくる。

「そ、そんな事してません…」

怖さで身体が震える。


「はぁ?何言ってんの。それに課長とペアになってるからって調子に乗るんじゃないよっ」


パンッ、という乾いた音と共に私の左頬に痛みが走った。
叩かれたんだ…。ヒリヒリする左頬を手で押さえた。


「ホントずうずうしい子」

「あんた、ウザイんだよ」


ズキッ…。

ウ、ザイ…?心が抉られる言葉に胸が痛くなる。

「邪魔な女」

「マジでウザいんだよ」

――…ドンッ、

すごい力で突き飛ばされ壁に身体をぶつけ、そのまま崩れるようにズルズルと床に座り込み両手で耳を塞いだ。
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