溺愛カンケイ!

足取り重く課長の席へ向かうと、すぐさま

「この数字、どこから引っ張り出してきた?」

私が作成した紙を机の上に置き、課長の長い人差し指で数字をトントンと叩く。

どこからって資料室にあったファイルから…って

「あっ…」

目を見開き思わず漏れた短い声。慌ててその口を押さえる。

課長は溜め息をつき

「その様子なら気付いたみたいだな」

「……はい、」

やってしまった。

そう、私が資料室から持ち出したファイルは二年前の。
去年のはよく使うからという事で営業部のフロアの棚に置いてあったんだ。

ヤバイ、その事を忘れた上に年度も確認せずに資料を作り提出していた。


「じゃ、今すぐやり直し」

「はい」

スッとその紙を渡され、急いで棚に置かれているファイルを手に自分の席に。

何で確認しなかったんだろう。

初歩的なミスに軽くショックを受けながら去年のファイルをパラパラと捲り、脳ミソをフル稼働しパソコンで打ち直しを始めた。

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