溺愛カンケイ!

拓也さんの胸にもう一度身体を預け
ポツリポツリと言葉を選びながら喋り出した。


「あのね、あの人が私にとってトラウマになるような事を言った人なの」

「あいつが?」

コクリと頷いた。

「もう二度と会う事はないと思ってたのに偶然再会して…」

ホントに会いたくなかったのに、と言葉に詰まり思わず拓也さんの手をギュッと握ると握り返してくれた。

ゆっくりでいいから、というように反対側の手で背中を擦ってくれる。

ふぅと息を吐き


「坂口、あの人はさっき高校時代に私と仲がよかったって綾に言ったの。でも、昔は私のいない時にみんなの前でウザいとか散々な事を言って…私はその言葉に傷付いて人の目を気にするようになって何年も過ごしてきたのに…」


話してるうちに悲しみや辛さより怒りや苛立ちが沸々とこみ上げてくる。
今まであの人のいい加減な言葉に振り回されていた私がバカみたいだ。

気付くと

ムカつく…と、口に出していた。

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