溺愛カンケイ!

「ん…何か言ったか?」

拓也さんは聞き返すけど、それすら私の耳には入らず


「坂口のバカちんめ。いい加減な事ばかり言って振り回すなんて最低っ。この無神経男っ」


今度はハッキリと聞こえたらしく、拓也さんは身体を少し離し私の顔を覗き込んできて

「花音、今の…」

バチッと目が合うと顔から火が出るくらい恥ずかしくなる。

わわっ、どうしよう。
驚いてるよね、呆れられてもしょうがない。

気まずくてススッと拓也さんと距離をとるように離れて座ると、突然拓也さんの笑い声が部屋に響いた。


「アハハハハッ、腹いて~、バカちんって…何だよそれ。ククッ、花音はやっぱり面白いな、ハハッ」


えっ、さっきのに笑う要素あった?
拓也さんはうっすら涙を浮かべ、お腹を押さえながら笑ってる。

私は訳も分からず首を傾げながら見つめていた。

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