溺愛カンケイ!

「小林、例の件て何だ?」


黙っていた河野課長が突然口を開いた。

「へっ?」


思わず変な声が出た。課長は何を…。


「だから、田中が言ってた例の件って何だ?」


嘘っ、聞こえてたの?


「あの…それは、田中主任に二人でご飯に食べに行こうと誘われて…」


アタフタしながら答えると


「で、行くのか?」


どうなんだ、と言うような顔の課長。


「行きませんよ。断ろうと思ってて…」


そんなの行く訳ないよ。


「そうか」


課長はその後、何も喋らすじっと私を見てる。
気まずい雰囲気が耐えれなくなり、その視線から逃れるようにファイル探しを続けた。




「あっ、あった。課長、ありました」


ようやく見つけたファイルを渡そうと課長に近づいた時…


「小林、何だこの匂いは?」

顔をしかめ私を見る。

「えっ、匂いですか?」

自分の身体をクンクンと匂ってみる。

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