槍水仙
「・・・・」
「澄?・・・どうしたのだ?」
「へ・・・、あ・・・いや、これはっ・・・」
何で涙・・・
秀平様の前なのに・・・どうしよっ・・・
涙を止めたい気持ちとは裏腹に、次々と溢れ出してくる。
「すいませんっ・・・、すぐ泣き止みま・・・・・・・す・・・・・秀平・・・・・・・様?」
え、何が起こっているの?
後ろから感じる、人のぬくもり・・・
その正体が秀平様だと気づくのには、時間がかかった。
「秀平様、いけませんっ、こんなとこ見つかったら・・・」
「かまわん」
「でもっ・・・」
「俺は・・・澄が泣いているの、見たくない。どうやったらその悲しみを癒せる?」
「秀平様・・・」
「何故澄が泣いているのかは、聞かない。聞けない。いつか話せる日が来たら、話して?週に1度しか会えないけど、文ならいつでも待っている。すぐ返事を書く。何かあったらすぐ知らせて?兼次遣わせるから。ね?」
「そんな、もったいない・・・」
「俺は、澄を守りたいの。支えになりたい。嫌がられても付きまとう。澄が、心からの笑顔になるまで、俺がそばにいる」
「本当に・・・?・・・お母様みたいに、いなくならない?」
「いなくならない。そばにいる。約束」
「ありがとうございます、殿」
こうして、私と秀平様の距離は縮まっていった。
