槍水仙

「お待たせ致しました・・・」



「ほぉ、良い香りだ・・・・・・・・うん、美味。澄、ありがとう!」



あ・・・笑った・・・



「どうした?澄」



「あ・・・いえっ」



とっさに下を向いた。




さっきの殿の笑顔・・・まぶしかった・・・




あの笑顔を、いつまでも見ていたい・・・




カァァっと体が熱くなるのを感じた。




「それにしても澄よ、その着物いいな。よく似合っている」



「え?あ、これですか?・・・お母様が作ってくれたのです」



「左様か!素晴らしいなぁ、澄の母君は。一度会ってみたいなぁ」





私だって・・・もう一度会いたい。



あの時あげられなかったお茶を、もう一度差し上げたい。



ふと、この着物を作っている光景を思い出した。



〝この着物を着るのはまだ先になりそうね。でもきっと似合っているわ!〟



〝いつかこの目で見てみたいわね、澄の晴れ姿〟



満面の笑みで、まだ幼い私に話すお母様・・・
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