何度でも何度でも…
「ちょ!…待って!!…や、やだ!!、ねえ!海斗!!!」

いやいやと首を横に振るしるふの手を引きつつ、海斗は振り返る

「なんだよ、開口一番全制覇宣言しただろ」

「だって!!聞いてないし!!とにかく、やだ!!!」

腰が引けているしるふはすでに自分であるくことしない

「だから聞いたじゃん、いいのかって」

仕方なく歩を止めるが、しるふは海斗を逆の方面に引っ張ろうとする

「あの時見せたイジワルそうな笑みの正体はこれね!!海斗のイジワル!!!」

ふと思い当ったようににらんでくるしるふに海斗はさーととぼける

「ま、女に二言はない、だろ、行くぞ」

「いや!!!ぜったい、いやー!!」

軽く涙声になりながらも海斗に引っ張られて正面まで来てしまう


もちろん、そう、


お化け屋敷の前に


入口の前にいた係員の人が「二名様ですねー、どうぞ、すぐにご案内できます」と営業スマイルを向けてくる

「ね?海斗、本気?本気で入るの?」

ずるずると海斗に魅かれて歩くしるふの足はすでに歩むということをしない

「もちろん」

即答するその言葉にしるふはいやいやと首を振る

その瞳はすでに涙目だ
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