ハーフな危ないプリンセス
忠犬にはご用心
大きな城の一室で声がする。





「その国のお姫様のお供はかわっておりました…。犬とモンシロチョウで…。」





カリカリと羽根ペンが走る音が途切れた。代わりに…。





「犬です?私は犬なんて!」




フルフルと震えながらも尻尾を振るバルツ伯爵…。





まあまあとなだめるのは長身でエルフのルゼ…。腰にはドワーフから送られた宝剣カーザ…。





マジェスタ第一王女ラズベルは二人の守護者で遊んでいた。





マジェスタ王国は世界の中心に位置しており、他国の交流の場であり要であった。





その為代々「守護者」が他国から派遣される。





ドアをノックする音が響いた。





「はーい?」






「レベル参りました…。」





「どうぞ!」





今か今かと待っていたのだ。




「失礼します。」





レベルは王室の針師。姫の服はレベルが織ったもの…。姫はレベルがお気に入り。





「こないだの頼まれものが出来ました。」





ふとバルトは眉根を寄せる。
「姫これは?」





姫は嬉しそうににっこりと下ろし立ての服をばさりと回してクルクル踊る。





「まるでロビンフットのようですね。」
ルゼは面白そうに見ていた。





「ムフ!これを着てね弓の大会にでるのよ!」





「いけません!貴賓の貴女が何故大会にそのような格好で出るんですか?!」





「えー!見てるだけじゃつまらないじゃない。」




フサフサの耳にじゃれながら姫のわがままはつきない。





「姫ー!」





犬と姫が今日も走り回っていた。





マジェスタ王国にて星月夜に弓の大会が行われ、優勝者には王女から聖なる弓が渡される習わし…。





「正装でいくんです!」





「嫌よー!」






伯爵はため息をつく…。ラズベルは言ったら聞かない。





幼少期は魔法が暴走したこともある。





「そういえばレベルも参加するんでしょ?応援してるね。」





「はい。」





小さな眼鏡がレベルの細い目に似合っていた。





「やっぱりこれを着て行かなくちゃ!」





「ダメと言ったらダメと申し上げて…。」





鏡の前で既に魔法で着替えようとしていた。





ルゼは諦めてと目配せしていた。






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