シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「……葉月、お腹すいた?」
「ごめんなさい……」
「いや、いいよ。……うん。
先に夕飯にしようか。
葉月の買ってきたサンドイッチをいつまでも放っておいても可哀想だし」
「なんか、すみません」


なんとなく恥ずかしくて何度も謝ると、五十嵐さんが困り顔で微笑む。


「お腹空かせてる葉月を無理やり抱くほど飢えてないから大丈夫。
お腹いっぱいになったら俺の機嫌取ってくれると嬉しいんだけど」
「あ、はい。私でどうにかなるなら」


雰囲気をぶち壊したお礼に、本当にそう思ったのだけれど。
そう答えた事を後悔したのは、翌朝の事だった。


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