シークレット ハニー~101号室の恋事情~


家を出た理由はそれだけじゃなくて、一人暮らししたかったのもあると五十嵐さんは笑ったけれど。

笑い返す事ができなかった。


「それに、芸能界の時間は普通のサイクルとは違うから、色々気を使うのも嫌だったし丁度よかったんだよ。
俺は、葉月が今考えてるほど家族思いじゃないから、家を出たのは半分以上は自分のためだしね」


黙ってじっと見つめていると、本当だよと微笑まれる。

もしもそれが本当だったとしても、五十嵐さんがツラい思いをしたのは確かだ。
なんでこんなに優しい人が傷つかなくちゃならないんだろう。

お母さんのために一緒に暮らして、妹さんのために家を出て。
そんなに人の事ばかり思ってる五十嵐さんに、誰も安心できる場所をあげられなかったの……?
そんなの、あまりに理不尽だ。

ぎゅっと奥歯を噛んで悔しさに耐えていると、そんな顔しないでと笑われる。





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