シークレット ハニー~101号室の恋事情~
聞き返した“はい?”を、五十嵐さんはイエスの意味にとったのか。
立ち上がった五十嵐さんはわずかに微笑みを浮かべながら近づいて、私の肩を手で押してそのまま押し倒す。
黒い革のソファーに身体が沈んで、ようやくハっとして上半身を起こそうとしたけど、覆いかぶさっている五十嵐さんの身体に止められる。
上半身を起こすと、五十嵐さんとの距離が縮む事に気づいて、ソファーに肘を立てるだけに終わった。
「あの、五十嵐さん……?」
私の上にいる五十嵐さんを呼ぶと、「ん?」って返事をされる。
人を押し倒しておいて「ん?」って、とぼけるにもほどがある。
私が何を言いたいかくらい常識人なら分かるだろうし、どこか妖美に微笑む五十嵐さんにだって分かってると思う。
分かってて、わざと言って私の反応を見ているように見えるから。
「冗談きついんですけど」
「冗談? そんなつもりないけど」
冗談でもきついけど、冗談じゃない方がもっときついんですけど。
五十嵐さんがどういうつもりでこんな事しているのか、疑問に思いながら睨むように見ていると、微笑まれる。