桜涙 ~キミとの約束~


「そんな事よりさ」


……こうして、話題をそらそうとするのがいい証拠だよね。

あんまりうるさく言っても仕方ないからと、私は追撃するのを諦めてリクの話を聞くことにした。


「なに?」


続きを促せば、リクはどこかホッとしたように肩の力を抜いた。

そして、穏やかな声で私に話しかける。


「随分気持ちようさそうに寝てたけど、いい夢でも見てた?」

「……夢……?」


そういえば、見ていたような気がする。

私はリクとの会話で、すっかり眠気が覚めた頭で、見ていた夢の内容を思い出そうとした。

けど、映像は脳内で再生されることはなくて。


< 12 / 494 >

この作品をシェア

pagetop