桜涙 ~キミとの約束~
「そうだよ。で、奏チャンも小春に甘い。だがしかし、オレには厳しい」
残念だとアピールするように、悲しそうな顔で首を横に振ったリク。
すると奏ちゃんが大きく溜め息吐いてリクを厳しい表情で見つめた。
「僕が陸斗に厳しいのは、陸斗が怒られるような事ばかりするからだろう」
普段は柔らかいイメージの強い奏ちゃんの声が固さを持ってリクを咎める。
「いや、まあ……それは、ねぇ?」
助けを求めるようにリクが私を見た。
「……ごめん、リク。かばいきれそうにないよ」
「ええ~っ? 小春のオレに対する愛情ってそんなモンだったの? オレ、ショック。今日はこのまま一人で帰──」
悲しみを背負ったかのように背中を丸めたリク。
私たちから歩き去ろうと背を向けたのだけど……