桜涙 ~キミとの約束~
「帰るなんて言わせないぞ陸斗。今日こそはその辺みっちり話し合おうか」
奏ちゃんにガッシリと制服の後ろ襟部分を掴まれた。
まるで首根っこを掴まれた猫みたいだ。
「え、ちょ」
焦るリクは困惑の色を浮かべる。
反対に、奏ちゃんはメガネを光らせ笑顔で言った。
「まずは、何度言っても直さない服装の件だな」
そこから攻めるとはさすが風紀委員。
いつもひょうひょうと逃げて来たリクだけど、今日はもう逃げられそうにもないかも。
「はぁ……しょうがない……」
どうやら諦めたのか、リクは肩の力を抜いた。
奏ちゃんの表情が初の勝利に綻びかけた……その時。