桜涙 ~キミとの約束~


「ああ、もしかしたら三人の思い出の場所かもしれないな」

「え?」

「先週、うちのやつの命日だったから」


──完全に、忘れていた。


私は、自分のことばかりで、本当に忘れてしまっていた。

リクのお母さんの命日の事を。


「私、ちょっと行ってみます」


目的地は、私たちの思い出の場所。

私はリクのお父さんに、また改めてお線香をあげさせてくださいと頭を下げ、その場所へと向かう。

小学生の頃、私たちがよく過ごしていた秘密基地のある原っぱへ。


本当は走って向かいたかった。

けれど、疲れるような事は避けなければならない私は、リクに謝りたい気持ちでいっぱいになりながら、原っぱへの道を歩く。

その道すがら、私は記憶を辿った。


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