もうひとつの恋
健太は負けん気も強いし、元気もあって男の子らしい反面、体は他の子に比べて小さい。


一番時計に隠れやすくて選ばれたのかもしれないなと思う。


見ると一生懸命に口を開けてセリフを大きな声で喋っている。


後でたくさん誉めてやろう……


そう思いながら、健太のがんばってる姿を余すことなく撮影したくて、必死に健太の動きについていく。


最後までとちることなく演技を終えると、何故か自分も肩の力が抜けた。


全ての演目が終わり、帰る頃になると、健太が嬉しそうに駆け寄ってくる。


「じゅんちゃーん!!

みてた!?おれのこやぎ!」


「おぉ!最初っから全部見たぞ!

頑張ったな?健太!」


健太を抱き上げながらそう誉めてあげると、満足そうな顔をしてピースサインをしてくる。


「でもおれ……ほんとはオオカミやりたかったんだぁ

でもオオカミはおおきいこじゃないとダメって……」


残念そうな顔でシュンとする健太に、俺は大袈裟に驚いた顔をして言ってやった。


< 142 / 432 >

この作品をシェア

pagetop