もうひとつの恋
「もう、我慢できない!

アーハッハッハッハッ」


そう言われて初めて、美咲さんにからかわれてたんだとわかる。


あぁ……そうだった。


この人、こういう性格だってわかってたのに……


油断した!!


騙されたことよりも、自分の不甲斐なさに腹がたった。


あまりの衝撃に、怒りよりも恥ずかしさが襲ってくる。


しばらく口もきけずに黙っていると、美咲さんがさすがに悪いと思ったのか、謝ってきた。


「ごめん、ごめん、いやぁ、こんなにうまくいくとは思ってなかったからさ

大丈夫、大丈夫、その調子でいんじゃないかな?」


いまさらそんなこと言われたって、素直に「はい、そうですか」って答えられるはずもない。


しかもまだヒーヒー言いながら、笑いを堪えられてない人になんか、余計に言いたくない。


「もう…いいです……

おやすみなさい……」


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