もうひとつの恋
「てことはあなたもですか?

ははっ、母親っていうのは何でこうお節介なんですかね?」


「私もまだ27歳ですけど、親からしてみたら四捨五入すると30ってことで、本人よりも焦ってるんですよね?」


どこの親も一緒なんだな……


気さくな感じで話すことが出来て、俺はもう日曜日に会うまでもなく、このまま電話で断ってもいいんじゃないかと思った。


それを伝えようと口を開きかけた時、彼女の方が先に話し始める。


「あの……もしかしたら、会わないで済ませちゃおうとか思ってます?」


そう聞かれて俺は、どう答えるべきか迷った。


はっきり会えないことを伝えたら、彼女を傷つけてしまうんじゃないかと躊躇する。


俺がそんなことを考えて口ごもっていると、彼女は意外なことを口走った。


「あの……その日だけは来てもらってもいいですか……ね?」


俺はその言葉に驚いた。


てっきり俺と同じ意見だと思っていたから……


「えっ!?」


俺は驚いた拍子に声が裏返りながら聞き返す。

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