もうひとつの恋
純ちゃんの言ってる意味はわかる。


だけど、実際にあの空間にいたら、そうは思えない。


俺だけが邪魔者みたいな、モヤモヤした気持ちになる。


「じゃあ、純ちゃんもお人好しじゃん

俺のこと、ほんとの父親でもないのに、小さい頃から可愛がってくれたし……」


純ちゃんの顔を見れなくて、ベージュのラグの毛を見つめながら、いじけたように呟く。


あぁ!俺、なんかもう最悪だ!


純ちゃんが小さくため息をつくのがわかった。


呆れたよな?こんな自分のことなんか……


そう思ったとき、ふわりと頭を撫でられて、俺は目だけを上に向けた。


いつの間にか純ちゃんがすぐそばにいて、俺の頭をグシャグシャとかき回す。


「俺はお前のこと生まれた頃から知ってんだぞ?

弟みたいな息子みたいな親友みたいな?

その辺の親子より絆は深いと思ってたけど、お前は違うのか?」


鼻の奥がツンとした。


いつものふざけた口調じゃなくて、やけに優しい言い方に涙が出そうになる。


実際に純ちゃんは、自分に娘が出来たときも、俺のことを変わらず可愛がってくれたし、俺になにかあれば飛んできてくれた。


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