ロストバージン·レクイエム


それから何度かご飯を食べに行った。

同一人とのデート回数新記録だと思う。

ある日の帰り、いつものように駅まで送ってくれた時のこと

終点の駅にはもう電車が停まっていて、出発までは15分ほどあった。

ちょうどいい時間だ、と改札に向かおうとしたとき

「もうちょっと時間ありますよ」

と言って川島君が右手で私の腕を掴んだ。
左手は待合用に置かれている外のベンチを指している。



さ、触ってしまった。
男の手に。
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