ロストバージン·レクイエム
緊張しながらリビングに戻ると、缶ビール1本とグラス2つが机に並んでいた。
「飲もう」
「飲めないよ。吐く」
「じゃあ俺が飲む」
そう言いながらも2つのグラスにビールを注ぐ。
「あ。」
「何?」
ふと、お風呂上がりで化粧をしていないことに気づいた。
普段から薄い方ではあるものの、蛍光灯の下でいきなりすっぴんを晒すのは恥ずかしい。
『すっぴんは彼氏にだけ見せるものなんだよ♪♪』
いつか誰かがそう言っていたのを思い出した。
「何でもない。やっぱり私も飲む」
「?はい、どうぞ」
少しでも顔を赤くして誤魔化したかった。
乾杯、と言ってグラスを合わせ、ちびちび舐めるようにビールを飲み始めた。