朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「二人で何の内緒話をしていたんです?」


「気になるか?」


 柚は得意気にニヤリと笑って言った。


「別に」


 貴次はふんっと顔を背けた。


素直じゃないなあと思ったけれど、貴次のそういう不器用なところは嫌いじゃないなとも思った。


「あなたは少し調子に乗っているようです。私があなたを稽古に誘った本当の理由をまるで分かっていない」


「本当の理由?」


 気の抜けた表情で、小首を傾げる柚に、貴次は不敵な笑みを見せ近寄った。


「私は帝と正反対の性格に見えて、好みや考え方が非常に似ていると言ったのを覚えていますか?」


「ああ、覚えてるよ」


「私は帝のように、欲しいものは全力で欲しいのです。それが例え、帝のものであっても」


 柚はなんだか不穏な空気を感じて、一歩後ろに後ずさった。


「恐らく帝も、私と同じことをするでしょう。

例えそれが、どんなに禁忌なことであっても、気に入ったものは手に入れたい。

いや、必ず手に入れる」
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