朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
市を見ながら歩いていると、築地の側で男三人に囲まれている女性が目に入った。


男たちはニヤニヤしながら女性に詰め寄っている。


女性は頭から被ったショールで顔を隠すように俯いていたが、よく見るとその女性は先程森の中で出会った美女だった。


美女は男たちに連れ去られるように、小道に入っていった。


 柚の胸がざわざわと波だった。


男たちのいやらしい目付きが目に焼き付いて離れない。


美女はなんだかわけありのようだったし、このまま見て見ぬふりをするのは耐えられなかった。


気が付いたら柚は駆け出し、男たちと美女の後を追っていた。


 区画整備された十字路を曲がると、男たちに手を引かれ、無理やり歩かされている美女の後ろ姿が目に入った。


すると、柚の頭はカッとなり、元々正義感が強く優しい性格の柚は、後先考えずに叫んでいた。


「おい、その女の人を離せ!」


 柚の出現に男たちは立ち止まり、不快感を顔いっぱいに示した。


「なんだてめぇ。俺らに何の用だ」


「嫌がってるじゃないか、離せよ」
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