朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「嫌だ! やめろ、離せ!」


 柚は本気で抵抗するも、貴次は片手で柚の両手首を掴み上げた。


そしてキスをしようとして、ピタリと止めた。


「唇は危ないな。お前は噛み癖があるからな」


 そう言うと貴次は、柚の袴の紐を解き、上衣を捲り上げた。


すると、衣の下からはさらしが巻かれた綺麗な白い肌が顔を出した。


 柚は羞恥で顔が真っ赤になる。


さらしで巻かれて胸は見えないとはいえ、むりやり服を剥ぎとられた。


「誰かっ誰かーーーー!」


 柚は叫んだ。


自分の力だけで逃げ出すことは不可能だと悟ったからだ。


けれど、稽古中にいくら大声で叫んでも人が来たことはない。


今日暁がたまたま通ったのは奇跡に近いのだ。


 貴次は冷徹な瞳で柚を見下ろすと、さらしの上から胸を押すように触った。


強引な触れ方に鈍痛が走る。
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