朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「婚姻の儀は、もう一週間以内には行えるだろう。

だから、何も今、焦ることはあるまい。

今まで散々待ってきたんだ。

ここで柚を抱いたら、今まで我慢していたのが馬鹿らしくなる」


「暁が、それでいいのなら……」


「だがな、柚。その代りに、婚姻の儀が終わったら、柚が途中で気が変わって嫌だと言っても止まらぬぞ。いいか?」


 暁はニヤリと笑って言った。


口元は笑っているけれど、目は笑っていなかったので、冗談ではなく、本気で言っているのが感じられた。


柚は途端に少し怖くなり、ごくりと唾を飲み込んだ。


「……分かった」


 暁は嬉しそうに破顔し、柚をぎゅっと抱きしめた。


柚も暁の胸板に頬を寄せ、抱き締め返した。


柚は心が満たされて、とても幸せな気持ちだった。
 
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