曇りのち友情、時々恋
≒学校で
~♪
音楽室から聞こえてくるピアノの音。
まだ学校に残り一人ピアノの練習をする野桜鳴海の奏でる音色は見事なものであった。
「・・・・はぁ。」
だが、ピアノの音色はきれいではあるが
どこか少し迷いのある音のようにも感じられた。
「・・・どうしよう・・・。」
ピアノを弾く少女は独りごとをつぶやいた。
すると・・・
ガラガラ))
何者かが音楽室の重苦しい扉を開け、扉の前で止まった。
一気に新鮮な空気が入り込んでくる。
手を止める少女。
「まだ練習してたのか。」
「あっ、上杉くん…。」
「もう6時過ぎたぞ。」
上杉は防音扉の前から時計を指さす。
「知ってる… 上杉くんこそなんでこんな時間にここにいるの?」
鳴海は心配そうに彼の方を見つめた。
「ちょっと野暮用で。」
「ふ~ん…。 もう帰る?」
「そう思ってたところ。 でも、ピアノの音が聞こえたから…。」
「えへへ…。 まだへたくそでしょぉ~…?? 全然曲になってない。」
「いや、別に普通にうまいけど・・・」
そういうと、鳴海の隣まで歩いてきてピアノの上に手を置いた。
そして、目を合わせずに彼女に言った。