エンドレス・ツール
「夜中まで大変だね。お疲れ」

「翔さんこそ」

「俺は男だからいいんだよ。りーは女の子なんだから心配だよ」


わ、優しい……。


ドキドキする。


今まで男の人に優しくされたことなかったから余計。


ああ、優しいって罪。


「ほんとは毎日送ってあげたいけど、俺はバイトあるからそれは無理だし」

「いやいや、大丈夫ですよ。あたし全然可愛くないし、ナンパされるキャラじゃないし」

「そういう奴こそ危ないの。今は俺だったからよかったけど、あれがチャラチャラしてる男だったら断りきれなくてホテルに連れ込まれるよ」

「ごもっともで……」

「送るよ。危ないから。家どこ?」

「あの……翔さん」

「ん?」

「ここ……どこですか?」


二人の間に沈黙が流れる。あたしは慌てて身振り手振りをした。


「いや、あのですね、いつも通りの道を歩いていたつもりだったんですけど、いつの間にかここに来てて、あのっ……」


あわわわと慌てるあたしを見て、翔さんが吹き出した。


「はははっ! 19にもなって迷子?」

「うう……」


恥ずかしいです。


「りーって、けっこう抜けてるでしょ?」

「よく言われます……」


大抵妄想してるときなんだけどね。


ああ、恥ずかしい。


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