エンドレス・ツール
「け、ケイ……」

「夏香……」


いつもの十倍以上は甘ったるいであろうなつの声が聞こえてきたかと思ったら、二人がさっきよりも激しく抱き合っていた。


何か……服が若干乱れてません?


ケイゴくんがこのままなつを押し倒しそうな勢いだ。


え……まさか、ここでやっちゃうの?


いくらあたしでも刺激が強すぎるよ、それは。


「か、翔さん……」


あたしが慌てて再び翔さんの方を向くと、翔さんは「仕方ねえな」と呟いて、財布から一万円札を取り出して、なつと抱き合ったままのケイゴくんの肩を叩いた。


「続きをやるなら、向かい側のホテル行ってきて。俺の連れに刺激が強すぎる」


そう言われた二人はのろのろと立ち上がって、翔さんの部屋を出て行った。


……途中、なつの甲高い声が聞こえてきたような気がするけど。


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