エンドレス・ツール
でも、ちょっと悲しくなっていた。


あたしは翔さんには何とも思われてないのかなって……。


「りー?」


今度は翔さんがあたしの顔を覗き込む。


「彼女いたら、翔さんもするんですか?」

「え?」

「翔さんも、あんなこと……」


ああ、もうおかしい。


なんでこんなこと言っちゃってんだろう。


聞いちゃいけないのに。


そんなの、人のプライバシーじゃないか。


あたしは翔さんの彼女でもなんでもない。


もしかしたら「友達」の粋に入るのかもしれないけど、それも疑問形だし。


ただの知り合いだ。


もう、話の流れがわかんないし。


あたしが酔うと、本音が話せるようになるのだろうか。


あたしは俯いて唇を噛み締めた。


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