エンドレス・ツール
あたし、余計なこと聞いちゃった……よね。


怒ってるかな。


いくら優しい翔さんだって、自分の事情をずけずけと聞く女なんて……。


「……したいの?」


翔さんが缶を中央のテーブルに置いて、顔を近づけてきた。


「……え?」


顔をあげると、目の前に翔さんの顔があった。


さっきの笑い顔など微塵もない。


ち、近いし……。


ちょっと顔を動かしたら、キスができそうな距離。


「翔……さん?」

「俺は別にいいけど」

「……へ?」

「彼女以外の女とやるのは趣味じゃないけどね」


翔さんの手があたしの頬に触れた瞬間、びくっと体が震えた。


< 62 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop