エンドレス・ツール
頬に触れた手は、しっとりとしていて熱かった。


その熱に、あたしの体の中が熱くなる。


「……翔、さん」

「ん?」

「あたし……翔さんにならいいです」


翔さんの目がわずかに大きく開かれる。


心臓が鼓動を打って、頭にまで響いている。


全身が熱い。


「翔さんになら……何されてもいい」


唇が震えて、思うように声が出せない。


瞬きすら重く感じる。


あたしってば大胆だな……。頭の隅っこで考えていた。


この頭の隅っこにある、自分を客観視してるのが理性というやつだろうか。


ふっと笑った翔さんの唇が動く。


「目、つぶって」


翔さんの目がこころなしか潤んでいる気がする。


その目の中にあたしが映っていた。


翔さんになら……。それは、決して嘘ではなかった。


壊されてもいいとさえ思った。


翔さん…………。


あたしは目をつぶった。


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