恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「ああ、別にいいよ。
ラップとか歌いたい気分じゃねぇし」
じゃあラップ以外の曲歌えばいいじゃん。
そう言おうとしたあたしを止めたのは、山岸の言葉の続き。
「それに、凹んでる朱莉のが大事だし」
「……そういう言い方、誤解されるからやめて」
2人きりの教室に、オレンジ色の夕日の光が差し込む。
やけに鮮やかなその色に、目を細めた。
しばらくオレンジ色を眺めてから、山岸を見てため息をつく。
落ち込んでる人をほっとけない。
人のいい山岸らしい熱いポリシー。
「山岸は、本当にみんなに優しいよね」
呆れて笑うと、山岸もふっと笑った。
けどそれは、いつもの山岸らしくない、哀愁の残る笑みに見えて……。
違和感を感じた。