恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
だって、そうなるように仕向けておきながら振るとか……、そんなひどい事……。
黙ったままのあたしを見て、ケラケラ仁美が笑い出す。
「ほらね。やめときなって。
朱莉は泣き寝入りする事になっても汚い事は絶対にできないタチなんだから。
大人しく相沢先輩に注意されてムカついてればいいんじゃない?
毎朝グチ聞いてあげるから、慣れない事はやめときなって」
そう言われて、今度はあたしが苦笑いして頷いた。
「そうだね。……うまくいったら絶対に後悔しちゃうし。
あんなヤツでも、騙すとかってよくないよね」
もともと、正義感が強くて真面目な性格のせいでずいぶん損してきたと思う。
そのせいで外見とのギャップがあるらしくて、『もっと軽い気持ちで付き合えると思ったのに』みたいな振られ方をよくされたし。
別に、そんな遊んでそうな外見してるわけでもないのに!
正義感が強いだとか、真面目だとか。
そういう部分が長所にはならないのが“今”なんだって分かってるから、それを指摘される度に傷ついた。