恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「面倒くさいよね、こんな性格」


あたしだって、できるならもっと周りに合わせて過ごしたい。

だけどそれをすると、どうしても息苦しくなる。


そのジレンマが、どうしてもやるせない。


ふぅっとため息をつきながら言うと、優しく笑った仁美があたしの頭に手を伸ばした。


「朱莉はいい子だよ。本当に。イイコイイコ」


髪を撫でる手が気持ちよくて、そのまま目を閉じる。


……一瞬。

相沢先輩に髪をすくわれた時の事が頭をよぎって、顔がカっと熱を持った。


……あんな事、髪色で引っかかった生徒、みんなにやってるのかな。

ホント、キザ男。




―――だけど。


『あんなヤツでも、騙すとかってよくないよね』

あたしがその言葉を撤回したのは、その翌日の事だった。




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