恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*

「朱莉？　どうかしたの？」

「何泣いてんだよ……、あ、腹痛い？」


山岸の言葉に、首を振る。


山岸の気持ちが、胸を熱くする。

大きくて優しい気持ちが、包み込んでくれてるみたいだった。


熱を持った目から、涙が止まらない。



嫌われるかも、なんて……、なんで思ったりしたんだろう。

嫌になるくらいいい奴の山岸を知ってるのに……。


溢れ続ける涙を手の甲で隠しながら、山岸の袖を掴んだ。


「山岸……、ごめんね。

はっきり気持ちを言えなくてごめん……。

山岸の気持ちに応えられなくて、ごめん……っ。ごめんなさい……！」