恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
悔しくなりながら睨んでいると、先輩はわざとらしく表情を崩して困った顔をして見せる。
「だけど、黒はあまりよくないと思うよ。
男子高生には刺激が強すぎると思うから。……俺は好きだけどね」
「っていうか、名前! 呼び捨てにしないでよっ!
生徒会長クビになっちゃえ! セクハラ男っ!!」
まじまじと見つめてくる先輩の視線に耐え切れなくなって、とりあえずそれだけ叫んでその場から走って離れる。
後ろから、相沢先輩のクスクス笑う声が聞こえてきて、余計にあたしのイライラを煽った。
ムカつくっ! ムカつくムカつく! 絶対ムカつくっ!!!
抑えきれないくらいのイラだちを溢れさせながら、教室に入る。
そして、手鏡でマスカラの具合を確認する仁美に、ドスドス足音を立てながら勢いよく近づいた。