恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
一瞬、意味が理解できなかった。
それは、唇の動きが耳に伝わってくるくらいの距離から、甘く痺れるような声が直接注がれたから。
背筋を痺れさせる声にばっかり囚われて、何を言われたかまで頭が回らなかったからだけど……。
「えっ?! 嘘っ……」
やっと理解して慌てて胸元を隠す。
透けてるって……っ、だって、ブレザー着てるし、なんで下着が透けて……?!
胸の前でカバンを抱き締めると、それを見ていた先輩が困り顔で笑う。
「俺の注意が聞こえてないみたいだったから、朱莉が反応してくれそうな言葉を選んでみただけだったんだけど……。
どうやら当てちゃったみたいだね」
「……っ」
紺色のブレザーは絶対に透けない。
そんな事があるハズない。
それが分かってるのに……。
カバンを抱き締めていないと、先輩の目には見透かされそうでなんか恥ずかしかった。