重なる身体と歪んだ恋情
連れて行かれた中庭には私の知らない花が咲き誇り、真っ白なテーブルには豪華な料理が並ぶ。
出席者は私の家族に、彼の親族。
そして、
「この度はおめでとうございます。あの桐生様が落ち着かれるとは」
「おや、心外なお言葉ですね」
彼の仕事関係の人が沢山いらしてた。
「それにしても可愛らしい奥様で」
その声にとりあえず軽く頭を下げる。
「ありがとうございます。あなたに羨ましがられるなら懸命に口説き落とした甲斐もあるというものです」
嘘つき。
「えぇ、実に羨ましい。うちの妻と交換して欲しいくらいですよ。おいくらで?」
「ご冗談を」
そう言って彼らは笑うけど私には笑えない現実。
私はお金で売られた妻。だとしたら、それ以上の大金を積まれたら彼は私を売るのかしら?
ショールは頂いて肩からかけているけど、吹き抜ける風に私は身震いをした。
「寒いですか?」
「いえ……」
寒いなんてものじゃない。
凍りつきそうなほど、私の指先は凍っていた。