重なる身体と歪んだ恋情
抱えた彼女をそっとベッドの上に下ろしてやる。

少し濡れた唇、指先の包帯には血が滲んで。

もしも彼女を犯したなら、このシーツは赤く染まるだろうか?

そんな考えに思わず笑えてしまう。

ブラウスのボタンを上からひとつずつ外していく。

真っ白い肌が月夜に照らされて。

彼女の胸元に口付けを。

この部屋のドアには鍵をかけていない。

司は、どうしているのだろう?

部屋の外で聞き耳を立てているのか?

いや、それは無いか。

そしてこの部屋に入ってくることも絶対に無い。

千紗への気持ちはその程度なのか、それとも私の考え違いなのか。

どちらだとしても、


「貴女は私のものです」


そう言って露になった胸の先端を口に含んだ。


「……ぁ」


小さく零れる声も可愛らしい。

口の中、舌先で先端を転がせばゆっくりと硬く熟していく千紗の身体。

スカートを捲し上げながら太ももを撫でれば小さな声を上げて身を捩る。

そんな些細な抵抗を押しのけて体の中心へ。

少しだけ湿った感触に指先を滑らせる。

浮いた背中に腕を回して体を引き寄せて、胸の突起を甘く噛んで。


「あっ」


体の奥底から滲み出る雫を指先で掬って、彼女の中心をそっと撫でてやればビクンと反応させて。

ナカには挿れない。

ただ、中心を彼女の体液で湿らせた指先で弄ぶ。

硬く主張する彼女の中心を何度も指の平で滑らせて、胸の先端も舌先で転がして――。

絶え間なく聞こえる彼女の声。

小さな喘ぎ声は徐々に熱を帯び始める。

そして、


「んっ、あっ、あぁ――……」


大きく体を仰け反らせて一際高い声を上げて、彼女は達した。

腕の中で小さく痙攣する彼女の身体。

最後に胸の突起を舐めてやるとそれだけでビクンと反応する。


「司は、来ませんでしたね」


彼女のこの声が聞こえるはずも無い。

そして司にも聞こえないだろう。


「この続きはまた今度にしましょう」


このままでは詰まらないから。

スカートを直しブラウスのボタンを留めなおす。


「おやすみなさい」


彼女に毛布をかけて怪我をした指先にキスをひとつ。

そして私は彼女の部屋を後にした。
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