重なる身体と歪んだ恋情
この関係が変わることは無いだろう。
お互い、与えた傷に繋がれて離れることも突き放す事も出来ずに、一定の距離を保って打ち解けることはない。
最初はそれでも構わない、彼女を縛り付けることが出来るならこの現状に満足しなければ行けないのに――。
「奏様、後で少しお時間を」
車を降りるときの司の耳打ち。
一瞬では飲み込めず司を見ると、彼は軽く頭を下げて、
「夕食はホテルの方に用意させました。お口に合わないかもしれませんがご容赦を」
そう言って、今度は車を降りる千紗の手を取る。
「あら、結構美味しくては好きよ? もう少し和食を食べたいけれど」
「朝食はそのように。お部屋まで持ってくるように言いましょう」
そんな司の声に千紗はやはり「ありがとう」と私に向けたものと同じ台詞を。
けれどその表情は比べようもなく――。
「奏様、少しお仕事の話ですがよろしいですか?」
そう言うと千紗は、
「それでは先にお部屋に戻りますから」
と階段を上っていった。