重なる身体と歪んだ恋情
そんなの、確かめるまでもないのに。

私はベッドに手をついて彼のそばに這っていく。

そんな私の姿に奏さんは少し不思議そうに目を開いて、それから「どうぞ」と手を差し出した。

その手を取るとゆっくりと誘導されて、


「足を開いて。私をまたぐように」


冷たい声でそういわれる。

私は彼に言われるまま、足を開いた。

すると彼の方から私に近づいてきて、また唇を合わせる。

繋がれた手は離されて、彼の手は私の胸に。

包帯を巻かれた手は私の腰に回された。

腰を撫でるたびに、包帯のザラリとした感触に身体が勝手に揺れてしまう。

胸の先端を弄ばれるたびに声が出そうになるのだけど、それは彼の唇に吸い取られていく。


まるで娼婦だ。


隠すことなく肌をさらけ出して、甘い声を上げる。

太ももを伝う体液にゾクリとさせられて、開いた足の間には彼の身体。

彼は私が欲しいからこんなことをしてるわけじゃない。

ただ、そばに居る女が私しかいないから。

そしてこんな状況を作ってしまったのは私だから、彼は私を抱くのだと思う。

もしも怪我をしていなかったら、彼は私のいるホテルには帰ってないだろう。

ずっと如月もそばにいてどこにもいけないから、だから仕方なく私を相手にこんなことをする。

だって、他に選択肢はないのだから。

それなら、

彼の望むまま、娼婦になってもいいと思うの――。
< 358 / 396 >

この作品をシェア

pagetop