重なる身体と歪んだ恋情
唇が離れて、赤い舌が私の胸の先端をそっと包み込む。


「――っ」


指とは違って、生暖かくて柔らかくて、離れた瞬間に空気にさらされて冷たく感じる。

それまで腰にあった手はそっと私の中心を探り始める。

最初はそっと撫でるだけ。

それからゆっくりと中に進んで、淫らな水音を響かせ始めた。

右の胸は唇に、左の胸は手の中、体の中心は彼の指。


「あっ、……ん、っ」


押さえようとしても勝手にもれてしまう私の声。


「いいのですよ、我慢しなくて」

「――あっ!」


乳首をカリッと噛まれて、思わず体を仰け反らせて声を出してしまった。

そして体の中心、硬くなった1点を指でつままれて、他の指を中にいきなり入れられて。


「んあっ! ――っ、やっ、あぁ……」


快楽が身体中を駆け巡る。

痙攣する身体、勝手に仰け反る背中、口から零れる嬌声。

そんな私を抱きしめて、


「まだですよ」


彼はそう言って、さらに指を増やし私の中に入り込んできた。

バラバラに動く指、そのたびに粘着質な水音が私の耳を犯す。

そして私の中を彼の爪が引っ掻いて、


「ぃやぁっ――!」


さらに強い快楽の波が私を襲った。

がくがくと震える足。

彼にもたれかかった私の身体。


「千紗……」


名前を呼ばれるだけで、背筋がゾクゾクする。

そして、


「――あぁっ、あっ、んんっ」


彼の支えを失った私の体は彼の上に落ちて、いきなり奥まで繋がって、

真っ白になりそうな感覚の中で、彼は私に口付けをした。
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