重なる身体と歪んだ恋情

「ハーブって言うと珍しそうに聞こえますけど、実は韮や蓬だってハーブなんです」

「そうなの?」


首を傾げる私に「はい」とにっこり笑ってくれる郁。


「ここにあるのは海外から集めたものばかりですけど、育てるのもそんな難しく無いし」


そう言って見せられたのは、


「……草、なのね」


花の無い植物。言ってみればそのあたりの雑草と変わらない。

確かに葉の形はさまざまだけど。


「あはは、ちゃんと花の咲くものもあります。これなんてタンポポですよ」

「あ、確かに葉っぱの形はそうね」

「ちゃんとサラダとして食べれますし、コーヒーにも」

「えっ?」


コーヒー? これが?

驚いてこえをあげると郁はクスッと笑って。



「コーヒー、お嫌いなんですね」

「……」

「だって、顔に『苦い』って書いてあります」

「だっ、だって! あれのどこがいいのかさっぱり分からないんだもの! 苦くて酸っぱくて――」

「僕もです」


そう言うと郁は「しまった」と口を塞いで。


「兄さんに『私』と言うように言われてたのに……」


なんて子供のように郁は項垂れる。

だけど郁には『私』と言うより『僕』のほうがしっくり来る。

だから、


「いいわ、そのままで」

「えっ?」

「私たち、同い年ですもの。もっと普通に話せるほうが私も嬉しいわ」


そう言うと郁は「はい」とやっぱり素晴らしい笑顔を見せてくれた。
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