魔法都市
「……で?話ってのはなに?」
「これからのことなんだけど…篠原くんはどう動くつもり?」
「どうって…そりゃお前や洸さんの指示に従って動くつもりだけど?オレは権限がねぇ勝手に動くことが出来ないからな」
「そうよね」
(やっぱり…)
奏は彼がそう答えることをわかってた
「お前はどうすんだ?」
「あたしは勝手に動くわ。例え危険だと言われても…」
「え…?」
「10年前に…あたしが実験の被害者だって話聞いたわよね?」
「あ…あぁ」
いきなり10年前の話を切り出す奏に悠太は驚く
「気にならないの?なんの能力が植え付けられたのか…」
「気になる…がオレはムリに聞かねえよ」
「え…」
「だがな、この先の未来が変わるなら聞く」
(未来が変わるなら…か)
奏は知っていた
この先の未来がどうなるかを―――
ほんの一部が変わったとしても自分と悠太がどうなるかや全ての“未来”が変えることが出来ないことを
「あたしは…」
「え…?」
「あたしはもう長くない」
「……は?なに言って…」
「“あの日”を境にあたしの命は長くないのよ」