魔法都市
*
その日奏はMEEOから出て街をぷらぷらしていた
なんとも言えないデジャブを感じながら
「……散歩程度っていっても」
なにをどうしていいか分からなかった
交友関係と言えば大人の人が多かった
同世代と言えばいまのMEEOメンバーである悠太たちくらいだ
学校ではほとんど一人でいることが多かったのだ
「あ…」
ふと、なにかを思い出してどこかへ向かう
しばらく歩くと街を一望出来る丘へとやってきた
奏にとっては懐かしい場所だ
息抜きによく夕紀に連れて来てもらった場所だ
「懐かしい…」
すぅ、とひと息つく
懐かしい場所、懐かしい匂い、懐かしい昔の記憶が蘇ってくる
「………」
(……どこかで夕紀さんもこの景色を見てるのかな)
丘から見える街の風景を眺めながらふと、思い出す
もしあの時、夕紀が助けてくれなかったら奏はとっくにこの世界にはいなかっただろう
そして夕紀が亡くなったあの日……奏は誰よりも自分を責め続けた
「ははっ…なんであたしじゃ無かったんだろう」
ずっとずっと悔やんでいた
なのに悠太はまったく責めなかった
むしろ自分に協力してくれて一緒に世界を救うと言ってくれたのだから
fin.