サワーチェリーパイ
「どういう意味? 」
「男の子が好きなんて、聞いてなかったぁぁぁー」


あまりの迫力に否定すら出来ない晴斗と陽生は、走り去る彼女の姿を見送るしか無かった。


「お前、完全にカン違いされたな」
「痛てぇ! 」


いまさら平手打ちの痛みを感じ、ほおを押さえる。


「追いかけろよ、今からでも」
「いいよ、俺、本当は……」


そう言いかけた時、近くで悲鳴が上がった。


見れば、三次がケンカ騒ぎを起こしている。


「テメー、ナニしやがる」


三次の連れて来た女の子に、チカンをした奴が居たのだ。


こうして、晴斗の一方的な初デートは終りを告げた。
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